バスの向かう先は?

某所を訪れるためにバスに乗った。バスには数人のお年寄りが乗っているだけであった。雨で道路が混んでいるのではないか、と心配だったが、カサが必要なほどでもない、そんな程度の雨だったおかげなのか、渋滞に巻き込まれることもなく、バスは順調に道を進んでいった。

バスが発車してから、しばらくして、違和感を覚えた。

何かがおかしい。

もしかして、という思いは時間が経つにつれ、やっぱり、という確信に変わっていった。

そしてバスは終点に到着した。バスが到着したその場所は、数十分前にそのバスが出発した場所であった。

げげげ。巡回バスだったのか! 間違えて、街を一周観光してしまった! おかしなところで道を曲がったから変だと思ったんだよなあ。マヌケだ・・・。

バスの運転手に、何やってるんだ、こいつ? と思われる前に、こそこそとバスを逃げるように降りて、向かいのバス停に止まっている、今度こそは目的地にちゃんと到着するバスへと乗り換えたのであった。バスに乗ったところでバスを降りる僕。今度は間違えないように気をつけよっと。正しいバス乗り場を覚えるために支払った授業料は210円であった。