ノーベル賞雑感(その二)

ノーベル賞の話の続き。

ノーベル化学賞を取った田中さんは、小柴先生とは対照的だ。田中さんは、東北大・電気工出身で、島津製作所の研究所に勤める、そこらへんにどこにでもいるただのおっちゃんである。しかも、実験を失敗してできた試料を捨てるのがもったいないから、という貧乏くさい理由で一応試してみたら、何だかよくわからないけど偶然うまくいってしまった、というまさに「棚からぼた餅」「瓢箪から駒」受賞。

だが! たとえ偶然であったとしても、その偶然を見逃さないのはやっぱりすごいことだ。これは素直に認めたい。それに、昇進すると研究ができなくなるから、といって生涯一研究者を貫こう、と昇進試験を受けなかったそうな。こういうまじめな人にノーベル賞が与えられて、本当に良かった。

2ちゃんねる情報によると、田中さんは研究職からはずされて事務職にとばされていた時期があるらしく、ある会社を島津が買収してプロジェクトを組んだから運良く研究職に戻されていたらしい。あとちょっとで島津は、というか日本は、世界に対して大恥をかくところだった。危なかった。

こういう控えめなノーベル賞受賞者がいると思えば、江崎玲於奈みたいなでしゃばりなノーベル賞受賞者もいる。小柴さんがノーベル賞を取ったと聞けば、呼んでもないのにお祝いを言いにわざとらしく駆けつけたり、田中さんがノーベル賞を取ったと聞けば、電話でお祝いを言って新聞やテレビに出まくったり。あなたが偉大なのは、みんな、よく知っている。でもあなたは過去の人。主役は小柴さんと田中さんなのだから、そんなにしゃしゃり出ないで欲しいものだ。

ノーベル賞については、書きたいことはまだまだたくさんあるけど、これくらいにしておこう。続きはまた来年。(この日記、来年もあるのかなあ)